糸かけを始めたころは、糸を釘にかけることに必死で、
頭の中の無意識のおしゃべりが起こらかなかった。
いわゆる「今ここ」にある状態。
これは瞑想なのでは?と興奮してしまった。
しかしながら、糸を釘にかけることに慣れてくると、
いつものように頭の中でおしゃべりが始まったり、
目の前には実際にはない映像を見ていたりする。
体は「今ここ」にいるけれど、意識は別のところをさまよっている。
思考が湧くことは自然なことだから、
そのまま見守るしかないのだけれど、
湧き出た思考に必要以上にとらわれてしまうと今を逃してしまう。
「今ここ」に戻るには体に意識を向けるしかない。
自分の呼吸だったり、糸を触っている感覚だったり、
糸の直線が曲線になっていく様子をただ見る、糸が釘にかかったり、板を回す音だったり…。
体の感覚に戻ること……
瞑想や糸をかける時だけにするのではなく、
普通の生活の中で何度も何度もやり続けることが
一番大切な気がする今日この頃。